園芸研究家●成松次郎
ホウレンソウの生育適温は、15~20度で冷涼な気候を好みます。耐寒性は強いですが暑さには弱く、25度以上になると生育が衰えます。冬取りは栄養価が高く、甘味も増し最もおいしいです。中間地から暖地の作型となります。
[品種]
秋~冬まきでは、寒さに強く、低温でもよく伸びる品種「オシリス」(サカタのタネ)、「伸兵衛」(タキイ種苗)など、特徴のある品種では、葉に切り込みの多い「冬ごのみ」(タキイ種苗)、寒締め栽培向きには葉に縮みのある「雪美菜02」(雪印種苗)などがあります。
[畑の準備]
ホウレンソウは酸性土を嫌うため、事前に1平方m当たり苦土石灰150gを畑全体に散布して、よく耕しておきます。次に、1平方m当たり化成肥料(NPK各成分10%)200gと堆肥2kgを土とよく混和しておきます(図1)。
[畝立て]
幅70~80cm、高さ5~10cmの栽培床を作り、平らにならします。畑が乾燥しているときは、灌水(かんすい)して土壌水分が適度な状態にしておきます。マルチ栽培では15cm間隔の黒色穴開きシートを使います。
[種まき]
栽培床は平らにならし、条間15cm、深さ2cm程度のまき溝を切り、1cm間隔に種まきします(図2)。1cmくらい覆土をし、たっぷり灌水します。
[トンネルの被覆]
トンネル資材は有孔フィルムを使用すれば日中は高温にならず、生育の徒長を防げます(図3)。
[間引きと追肥]
1回目は発芽がそろったときに込み合っている所を抜き取り、その後、2、3回に分けて間引き、1本立ちにします。マルチなしの栽培では最終的に株間を5、6cmにします(図4)。また、草丈10~15cmの頃、1平方m当たり化成肥料30gを追肥し、株元に軽く土寄せします(図5)。
[収穫]
草丈25cmくらいを収穫の目安にしますが、30cm程度になってもホウレンソウ本来のおいしさは変わりません。株元の根を鎌やはさみで切り取り、枯れ葉を除いて200gくらいに束ねます。なお、寒締め栽培は収穫2、3週間前にトンネルを開放し、寒さにさらします。葉が厚くなり、放射状に広がったら収穫します。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
JA広報通信2022年9月号